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議事録
小泉総理は去年、「五十年ぶり『抜本的』な税制大改革を実行する!」って断言なさいませんでしたか?あまりにも威勢の良いお言葉に、公平で分かりやすい税制に変えてくれると、つい期待してしまったのは私だけでしょうか?でも結局、小泉政権の税制改正は今までと同様わかりにくく、相変わらずの増税路線でした。
今年の改正で、医療機関に大きな影響を及ぼすものとして消費税改正があげられます。

1.消費税について

消費税は、そのしくみ上最終消費者が負担することとなっています。しかし、保険医療は非課税売上ということで、収入時に非課税であるため、薬の仕入や医療器材等の購入にかかった消費税は税額控除が受けられず、医療機関が最終消費者として消費税を負担しています。
この医療機関が自腹を切っている消費税は、導入
時には保険診療報酬に上乗せするということでしたが、相次ぐ診療報酬引き下げにより更に医療機関の負担を大きくしています。どうしても診療報酬引き下げによる収入減にばかり気を取られがちで、導入から十五年もたちますと、消費税に対し免疫が出来つつあるように感じます。更に今後「消費税の福祉目的税化」「消費税を増税し社会保障にまわす」という論調により税率アップの方向に進んでいくようですが、税率が上がればあがるほど今のままの消費税のしくみでは医療機関の収益をむしばんでいきます。所得税、法人税について重税感を感じるあまり消費税に目がいかない傾向にあるようですが、消費税の実質増税にもしっかり目を向ける必要があると思います。

2.今年の消費税改正

今年の主な消費税改正点として医療機関に影響を及ぼすものとしては、
(1)免税点適用上限が三千万円から一千万円に、
(2)簡易課税制度の適用上限が二億円から五千万円に引き下げられた、
ことが挙げられます。
(3)保険診療収入は消費税法上非課税ですが、いわゆる自由診療収入(文書料、健診、予防接種等)は、消費税の課税苑上になります。今までは三千万円以下の場台は消費税の申告は免除されていましたので、大多数の診療所は消費税を納めるということを考えなくてもよかった訳です。今年の改正で一千万円を超えますと課税事業者として消費税を納めることとなります。業用資産(医療用器械、輌等)の下取価格も含まれますので、かなりの医療機関が課税事業者になる例はと、危惧しております。更に消費税の難しいところは、二年前の事業年度の税売上高で判断されることです。これを基準年度といいますが、個人の場合に今年一年間の課税売上高一千万円を超える場台、二〇〇五年の売上に対し、消費税を納めることになります。医療法人の場台は、決算月によりバラバラです。
ほんの少し収入が増えたため、それ以上の消費税を納めるなんて事がありえますから、課税売上高一千万円近辺の医療機関は計画的に自由診療収入並びに課税上を考えてください。
A簡易課税制度の適用の上限が課税売上高年二億円から年五千万円以下に引き下げられます。ほとんどの医療機関は「簡易課税」の選択届けを提出した方が有利と思われます。課税される事業年度の前の日までに提出しなければ適用されません。事前に手を打たなければ損をしてしまうという
ことです。

3.相続・贈与税

贈与税の非課税枠が拡がった、二千五百万円になったとの報道ばかりが目立ちますが、実は相続の時の非課税枠を先取りして贈与に使うだけなのです。この「相続時精算課税制度」は一度決めたらやり直しはききません。慎重な検討の上、選択しなければなりません。政府は、「少子高齢化社会を支える税制」と称して、公的年金等控除や老年者控除の縮小、来年からは専業主婦の配偶者特別控除が原則廃止になり実質増税に向かっています。「こちらたてればあちらたたず」で、実質増税感を少しでも回避すべく、例外規定によって特例を設け、自己責任という書葉に飾られた選択制が
取り入れられ、ますます訳の分からない税制になっていくでしょう。保険診療報酬改定も、政府はもっともらしい「基本方針」をあげ、しかし何とか総支払額を抑えるよう複雑化しているのと同様と考えて頂けれはと思います。

4.医療構造改革

「改革」とは便利な言葉です。変わればよくなるように思えるからです。しかし、小泉政権が考えている医療改革とは「改悪」そのものです。財政の安定化、適正化、規制緩和、社会保障の再建等というもっともな書葉で飾られていますが、医療費削減に向かっていることは、どなたも感じてい
らっしゃることと思います。医療現場を知らずしてとしか思わざるをえない猫の目のように変わる診療報酬改定は、医療の質は後退しても、とにかく医療費を下げようというものでしょう。
ますます医療事務は煩雑となり、患者さんのため診療に全身全霊をかけていらっしゃる先生方も、「医は仁術」ではなく算術という観点も必要にならざるを得ない状況ではないでしょうか。収入は下がりコスト削減もままならない状況下では医療環境の劣悪が懸念されます。今後、株式会社の医療参入、混合診療解禁等医療経営はこれからも厳しい状況におかれると思いますが、医の倫理に基づいた、よりよい医療が受けられる社会保障としての医療が確立されるよう積極的に行動していかなければと思います。年金は下がる、医療費は上がる、テレビをつければ暗いニュースばかり。先行き不安の中で国民はじっと耐えています。納税は国民の義務ですが、国民が納得して納税できるような、公平で分かりやすい税制にしてください。そして、納得できる使い方をしてください、小泉さん!
第1250号 (第三種郵便物認可) 東京保険医新聞2003年10月25日(2)
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