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議事録
「ペイオフ解禁で見直す資産活用」と、さまざまな商品の宣伝が始まっています。そんな中で「預貯金の運用からマンション経営へ」などという広告を目にします。
また、賃貸用のワンルームマンションが売れているようなのです。バブルの時代にはマンションの値上がり期待と節税対策で売れましたが、いまはペイオフ対策として老後の安定収入を得る方法、あるいは相続税対策などで見直されているようです。
家主代行システム、借上システム等とうたい、面倒なこともなくいかにも高利回りで回りそうですね。しかも税金対策、老後の安定収入につながるといわれれば、ついその気になりそうです。それはそれで問違いではないのですが、一見高利回りでも、それは「公租公課」「その他管理費」など必要な費用を控除する前の金額かもしれません。また、高額の家賃収入も当初2年問の設定賃料であることが多く、必ずしも将来にわたって保証されるものではないかもしれません。マイナスの情報は小さな字で書いてあることが多いので注意が必要です。小さな字の所こそしっかり読んでおきましょう。
さて、マンション投資の費用はどの位かかるもの でしょう。

[購入にかかる税]

マンションを持つとまず、取得時に税金がかかり ます。
印紙税:売買契約書、住宅ローンなど金銭貸借契約書に貼ります。税額は「1000万円以下なら1万 円一「5000万円以下なら2万円(不動産譲渡に関 する契約書1万5千円に軽減)」
登録免許税:土地建物の登記や、住宅ローン借入の際の抵当権設定登記に伴う税で、税率は登記の内容によって異なりますが、売買の場合なら「固定資産税評価額×5%」(土地は平成!5年3月31日までは3分の1に軽減)
不動産取得税:原則として「固定資産税評価額× 4%」。土地=一定の条件を満たしていれば、「評価額の2分の1×4%の4分の3」。建物:新築住宅 で土地・建物が一定の条件を満たすと「評価額から1200万円控除した額の3%」
消費税:土地=消費税はかからない。建物=個人が居住用住宅を購入する場合、原則として中古なら課税されないが、新築なら課税。

これらの税額は、物件により違ってきますし、消 費税がかかるケースかそうでないかでも大きく(5%)異なりますが、平均的に8%程度ですから、無視できません。マンション購入のコストとして税は見落としがちですが、追加費用として計算してお かないと慌てることになります。

[所有にかかる税]

不動産所有時には、固定資産税,都市計画税がかかります。
固定資産税:固定資産税評価額の1.4%
都市計画税:固定資産税評価額のO.3%
固定資産税評価額は、市町村備え付けの固定資産 台帳に記載されています。固定資産税だけでなく都市計画税、不動産取得税、登録免許税の計算の基礎となる価格ですが、原則3年ごとに見直されます。

[売却にかかる税]

不動産は取得、所有に課税されるだけでなく、売却に際しても課税されます。売却の際の課税は、保有期間や、その他のさまざまな条件によって課税が異なってきます。(というわけで今回は省略)
住宅を購入すると、それに伴って家具や電機製品などを買うことが多いので、需要が増えます。建設業、不動産業だけでなく引っ越し産業などさまざまな業界に経済効果をもたらします。そこで、なんとか住宅需要を増やそうと、景気対策としてしばしば、住宅や不動産については税の優遇措置がとられています。
たとえば親が子供達に、住宅のための資金を贈与したときの贈与税の減免を拡大したらどうかと検討されています。現在、住宅取得のための贈与は550万円まで非課税ですが、3000万円までという話も出ています。高齢者の資金を引き出して、住宅建設を促進しようというわけです。
しかし、高額の貯蓄を持っていると言われる高齢者が、なぜお金を使わずにいるかと言えば、老後が心配だからです。いくつまで生きるか、どんな病気や災害に直面するか誰にもわかりません。将来の不安を少しでもなくしたいと思えば、節約するのは人情です。贈与税を減免すれば、高齢者が財布の紐をゆるめるというのは間違っていないでしょうか。
日本の持ち家率は、すでにかなり高くなっていて、親から引き継げる人たちまで計算に入れれば、持ち家率は80%を超えていると言われています。平均して2人の子持ちとしても、どちらかの親から家を引き継げば、全員が持ち家です。一人っ子も増えており、一人っ子同士が結婚すれば、住宅が一軒余ってしまう勘定です。
景気浮揚はぜひやってほしいと思いますが、しかし、目先の景気にばかりに目を奪われているような気もしないではありません。なによりも必要な景気対策は中長期的な視点で、国民が安心して暮らせるような環境を整えてくれることです。国民の資産運用の条件の根本を変えるような税制いじりではないはずです。
また、賃貸収入には不動産所得として所得税がかかりますが、家賃収入から必要経費を引いた金額に対して所得税が課税されます。必要経費に含まれるものとしては、固定資産税、損害保険料、借入金の利子、減価償却費、修繕費、管理費などがあります。時間が経過すると修繕費もかかるようになるでしょう。管理費の負担もしっかり計算に入れてください。
収入の試算を載せている広告もありますが、いかに少ない自己資金で購入できるかが強調されがちです。頭金は10%で残りは借入、しかも返済期間30年位のものが多いです。しかし、借入返済期間が30年であっても実は持ち出しになります。返済期問が30年より短ければ、自己持ち出し金はもっと増えていきます。しかも、その上に税金の負担分がかかるのですから、賃貸で利益を挙げるのはむずかしいというべきでしょう。
また賃借人が見つからないリスクもあります。借金で購入している場合は賃貸収入がなければ、借金の返済、管理費等がすべて持ち出しになってしまいますね。家賃保証はいつまでかは忘れずにご確認ください。
賃貸物件であっても、相続税対策、固定資産税対策、所得税の節税対策になり得ます。現金で2000万円だとそのまま2000万円で評価されますが、マンションだと建物は60〜70%に評価、土地は公示価格の80%程度に評価、貸家ならさらに評価が下がります。また、借入金は債務として相続資産から差し引けるので相続税対策としては、有効です。
節税効果は、人それぞれの事情によって違ってきますし、どんな物件をどの様に購入するかによっても違いますので、ご自身のケースで果して節税になるのかどうか良くお考え下さい。賃貸マンションを購入することのデメリットが、メリットを上回る場合もありますので、注意が必要です。
さて、高利回りがうたい文句のマンション投資ですが、価格が元値より下落したらどうなるでしょう。
年間賃貸収入から必要経費を引き納税したあとにプラスが残っても、利回りはプラスとは言えません。
2000万円で購入したマンションが、2000万円プラス諸経費で売却できなければ、売却損が生じるからです。売却損が生じず、さらに年間賃貸収入から必要経費と納税額を羊引き、lOO万円が残ったとしましょう。そのとき初めて5%の利回りで回ったといえるでしょう。
物件の内容により差はあるでしょうが、今の不動産市場では新築で5%、中古物件で10%の利回りといわれていますが、2000万円の物件で年100万円の収入を得ても、売りに出すときは1000万円の価値に下がっていることがあり得ます。バブルの時代、ここまで不動産価格が下落すると誰が想像したでしょう、今後もどうなるかは分かりません。
不動産は株式のように簡単に換金できません。一旦取得してしまうと、転売も手間もコストも相当の覚悟が必要です。もう不要と思っても、物件により時期によりなかなか転売できないということも少なくないのです。買い手がない限り現金化できないということも覚えておいて下さい。
家賃保証も新築の間しかつかないのが普通です。
しかし、新しいマンションなら、借り手に不自由する可能性も小さいのです。むしろ、家賃保証の期限が切れ、マンションも古くなってから借り手探しに苦労するのです。借手が見つからないような物件は当然、転売も困難です。不動産は表面的な広告の数字のみで判断せず、総合的に判断してほしいと思います。高利回り、安定収入とうたわれていても、確実ではない、リスクがあるということを頭に入れ判断してください。対策の有効性、税金上の試算は、素人では分かりにくいので、間違いを避けるためには専門家に相談するのが良いでしよう。
また、賃貸用不動産を持つということは、大家さんになるということです。入居者のトラブルもあります。家賃の滞納、近隣とのもめ事など、大家さんの精神的負担も案外大きいものです。
女性投資家の会 会報13号2002年6月発行
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